安全への挑戦

2010政策フォーラム
安全風土の再確立と働きやすい職場を目指して
             「職場からの挑戦」に決起しよう!

寸劇で乗務員の苦悩を会場に訴えた発表(第3セッション長野)
寸劇で乗務員の苦悩を会場に訴えた発表(第3セッション長野)

 11月13日~15日、2010政策フォーラムを仙台地本の万全の準備のもと、来賓にJR総連、JR東日本労連やJR東日本会社より参加を頂き、山形県・天童温泉「滝の湯」において開催しました。
 千葉中央執行委員長は「職場で発生している現象を職場活動の闘いを実践し、『提言』として創り出している。政策フォーラムはJR東労組運動の骨格を創り出してきた。労働組合としても人材育成・技術継承は重大だ。たしろ選挙の教訓を生かし、11.1集会の成功をバネに浦電事件の真実を訴え上告審で勝利しよう。職場では、社会的な常識を認めない職場管理が横行している。労働組合の機能をしっかり果たしていくためにも職場からの挑戦を推し進め未来を切り拓く政策フォーラムにしていく」とあいさつしました。その後、JR総連武井執行委員長、深澤常務取締役から来賓の挨拶を受け、三つのセッションに分かれて16機関が発表し、討論を行いました。

画像では見えないが、横断幕の余白には仲間からの<br />直筆メッセージが書かれている(第3セッション工務)
画像では見えないが、横断幕の余白には仲間からの
直筆メッセージが書かれている(第3セッション工務)

 発表や討論では多くの若手から意見が出され、職場で発生している事象から、会社や労働組合としての取り組みの問題点を抽出し、安全で働きやすい職場をつくるための職場活動の実践が報告されました。また、会社の社会常識を逸脱した労務管理に対して、会社の姿勢をただしていくことを確認しました。
 3日目は、桑野日本ヒューマンファクター研究所所長から「事故調査と経済効果」と題して講演を受けました。その後、吉川書記長がまとめを行い、組合歌合唱の後、千葉中央執行委員長の団結がんばろうで終了しました。


◆◇◆政策フォーラム討論(要旨)◆◇◆

第一セッション「乗客の暴力と駅における人材育成」

 5機関が提言を発表し、討論では12名から発言がありました。暴力事件については、GS社員が重傷を負って今なお治療中だ。暴力事件の件数は増加し、凶暴化している。会社のマニュアルでは、危険と感じたら逃げろとなっているが、不意に殴られることが多く逃げられない。業務の1名体制も暴力が増えている要因だ。一人作業を見直すべきだ。さらには、暴力発生時、病院や警察署などに行く場合、代替え要員や当務駅長が不在となることから、我慢しているなど職場の現実が出されました。
 そして、駅の効率化限界だと職場から悲痛の声が上がっている。営業職場では、新人が新人を教えている、そこには技術継承はない。職場の中軸を担っているのはGS社員だ。GS社員は営業のプロであり希望者全員を正社員に採用すべき。と駅職場の現実や報告され、新入社員のライフサイクルの見直しとGSの正社員化を実現し、要員不足を解消すべきとの意見が出されました。
 また、職場では人事権、施設管理権などを振りかざした労務管理、労組対策が行われている。社会生活をしていく上での常識的な内容に対しても組合活動として規制する会社はおかしい。など、一方的な会社に見直しを求めていかなければいけない。と発言がありました。

会場を笑いの渦に巻き込んだ発表(第2セッション運車)
会場を笑いの渦に巻き込んだ発表(第2セッション運車)
白熱した議論が展開
白熱した議論が展開

第二セッション「外注化・システム化検証と技術継承のあり方」

 5機関が提言を発表し、討論では15名から発言がありました。設備や運転職場の効率化や外注化について、システムを導入しても超勤が増え、ルールを逸脱しないと業務ができない実態や、会社は、超勤削減のために検査項目の削除や外注化を考えているが、外注会社は決められた作業をするだけで、故障を未然に防ぐ、安全を守ることはできない。など報告され、安全と技術継承は、現場で経験を積まないと確立できない。出向ありきの外注化施策や技術継承には反対だ。という意見が出されました。
 また、ホームドア導入に際しては、東京モノレール労組の参加者からも導入時の取り組みが報告されました。また、施策実施ありきで職場の疑問に応えず、経営判断や業務指示を振りかざし、職場の社員の声に応えない会社の姿勢は官僚組織そのものだ。など会社の姿勢は問題だとの意見が出されました。
 さらに、バス関東で導入されているドライブレコーダーについては、現場運転手の不安を解消するために導入目的の安全以外に労務管理に利用されないための議事録を締結している。などの報告がありました。

千葉委員長から表彰を受ける発表者の皆さん
千葉委員長から表彰を受ける発表者の皆さん
講演をして下さった日本ヒューマンファクター研究所所長の桑野氏
講演をして下さった日本ヒューマンファクター研究所所長の桑野氏

第三セッション「法令を遵守し、安全に働き続けられる職場づくり」

 6機関が提言を発表し、討論では17名から発言がありました。信濃川発電所分会の発表では、不正を見逃すことは組合員の為にならない。何度も指摘されたが現場社員の声を真摯に聞かない経営陣の姿勢にある。など経営の姿勢をただす意見が出されました。また、職場の安全キーマンは指導員であること、信頼関係が無ければ指導はできないこと。労務管理を強化しても安全は確立できないなど、原因究明委員会で事故の背後関係まで掘り下げて、対策を打ち立てていくことが重要であると発言がありました。
 また、女性社員が増加しているなかで、女性設備の充実や時短行路の作成など、女性が安心して働ける環境が整っていないこと、身障者が働きやすい職場環境になっていない。さらに、事務社員の教育体制が整っていないことなど、制度や職場環境の不備に対しての問題点も明らかになりました。
 また、盛岡地本の地方ローカル線を残すための提言については、組合員に苦渋の選択をせまる提言であり、地方の業務体制に踏まえた方向性を指し示した内容となりました。

準備を担ってくれた仙台地本ありがとうございました♪
準備を担ってくれた仙台地本ありがとうございました♪

10年先を見据えた運動を
吉川書記長まとめ

 本政策フォーラムは16機関からの発表があり、大きく分けて三点のポイントがあったと思います。一点目は、安全哲学をさらにつくりこむために、職場の原因究明委員会を強化し、発展させていくこと。二点目は、サービスについて見解をはっきりさせて運動をつくり出していくこと。三点目は人材育成や技術継承を平成採に引き継いでいくために、各系統のプロづくりを明確に位置づけて、組合版の育成プランなど創り出していくことです。
 その場合、国鉄改革の精神や人間尊重企業を守り抜き、競争社会に対して仲間のために何をするのかという議論を職場から巻き起こして、安全第一、職場第一主義を貫いていかなければなりません。また、会社の施策ありきの姿勢に対して、粘り強く団体交渉などで議論し、組織を強化しつつその施策に立ち向かうことが大切です。
 最後に、労使関係について、常識をはるかに超えた労務管理の状況が報告されました。「職場で労働運動をやるな」としか聞こえません。労働運動の破壊であると思いますし、憲法で保障される団結権の否定だと思います。ものを言えない職場づくり、これは絶対に危険な職場管理に繋がります。箱根以西のような職場にしないために12地本が団結してたたかい抜き、10年先をしっかり見据えた人材育成、技術継承を着実に進めていくことを確認しましょう。
 「えん罪・JR浦和電事区事件」の上告審勝利、労働条件の向上を全組合員の結集でたたかい取ることを申し上げまとめとします。

●第1セッション●
  ・横浜地本 大船駅分会
「安心して働ける職場をめざして~暴力行為を防ぎ、私たちの命を守ろう!~」
・八王子地本 営業プロジェクト
「暴力事件を許すな!更なる安全を追求し『その駅のプロ』をつくる」
・営業部会 駅分科会
「あんしん安全を私たちに」
・新潟地本 営業部会
「おじさん達やめないで、若者達いかないで」
・大宮地本 大宮運転区分会・大宮駅分会ライフサイクルプロジェクト
「強制転勤を許さない!本人希望を尊重したライフサイクルで『運輸のプロ』を創りだそう!」

●第2セッション●
  ・秋田地本 工務部会
「競合作業把握システム運用の現状について」
・水戸地本 勝田車両センター分会
「新系列車両の検査体制見直し」
・高崎地本 高崎車両センター分会
「検修全面外注化反対!!技術管理と本線業務で安全・安定輸送が保たれている!!」
・東京地本 池袋運輸区分会・大崎運輸区分会
「安全で安心した乗務労働の実現を目指して~このままでいいのか?不安だらけのホームドア・TASC~」
・運輸車両部会 バス分科会
「バスを操る運転士、ドライブレコーダーに操られる運転士~働きやすさと働きがい、そして真の安全希求へ~」

●第3セッション●
・東京地本 信濃川発電所分会
「二度と過ちを繰り返さないために~そして職場を守るために私たちは何をすべきか~」
・仙台地本 福島総合運輸区分会
「安全を創る・・・そして継ぐ・・・」
・長野地本 松本運輸区分会
  「長野支社珍百景 信濃大町駅見えない線標」
・工務部会 事務分科会
「将来に働きがいのある事務職場をつくりだそう~事務職の未来を切り拓こう~」
・千葉地本 習志野運輸区分会
   「女性乗務員の働きやすい職場、安心して仕事ができる要員体制・職場環境を目指して!」
・盛岡地本 宮古連合分会
   「ローカル線職場の新しい営業所のカタチ」

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