安全への挑戦

職場からのたたかい~矢向車掌区分会
人権無視の「体罰教育」は許さない!~見せしめ教育で安全は創りだせない!~

体罰教育は絶対許さない!

画面から見える乗降時の状況
画面から見える乗降時の状況

 9月3日21時21分頃、2121F(川崎駅発登戸駅行普通電車)武蔵溝ノ口駅の客扱いに対し、旅客からドア挟まりの苦情が3件発生しました。
 会社は、当該車掌が以前にもドアに関する苦情を受けていたことを理由に、9月10日の勤務を変更して日勤教育を行いました。そして、ドア扱いの訓練や指導等の中で、武蔵溝ノ口駅で車掌の基本動作を見学した後、中原電車区構内の現車を使ってドア扱いや組合員をドア位置に立たせ、管理者がドアで「お客様がドアに挟まれたらどれだけ痛いか手を挟んでみろ」「どうだ、痛いか。次は肩だ」「次は足だ」と言って挟んだものです。
 翌日出勤した組合員の様子がおかしいことに気付いた分会役員が事情を聴き、前日の日勤教育の中で体罰教育が行なわれた事実を知り、分会は直ちに「このような教育は、絶対ありえない!許せない!」と抗議し事実確認を求めました。これに対し会社は「そのような事実は無い」と回答しましたが、数日後「ドアで挟む教育を行った」と事実を認めました。しかし、現場長は事実関係を認めましたが、本人への謝罪は一切ありません。

検証で真実が明らかに

緊急職場集会を開催して意見を出し合いました
緊急職場集会を開催して意見を出し合いました

 分会は、支部・地本と協力して現地でホームや客扱いの状況を撮影し検証運動を行いました。そして、①当該電車は途中、折り返しのため、後続電車のお客さまの徒列で車掌の視界を覆う状況であること②乗降は、ITVの確認では安全にドア扱いできずに発車時刻が過ぎてベルが鳴り止んでも終了しないこと③さらに再開閉スイッチを何度も扱って、手笛を鳴らしてもドアを閉めることが困難であることが解りました。検証に立ち会った仲間から「こんなに酷いとは知らなかった」「発車ベルに手笛でも安全に閉められないとは」等問題点が明らかになりました。
  9月28日、関係分会・部会・分科会や東京地本の参加者と、全国から届いた檄FAXや檄布に囲まれて矢向車掌区分会緊急職場集会を開催しました。集会では撮影したビデオを見て、苦情の原因が組合員のドア扱いではなく、停車時分やダイヤの問題だという意見が出されました。
 11月12日、地本は申7号体罰日勤教育について申し入れを行い、団体交渉で当該列車の状況と車掌業務の問題点を指摘し、苦情内容の「ドア挟まりでなぜ足の裏を擦り剥くのか?」「無理な駆け込みでの怪我ではないか」と状況説明を求め、体罰教育で苦情は解決できないことを主張しましたが、会社から回答はなく「体罰ではなく体感」「本人の自覚のため」との回答に終始しました。
 地本は、苦情の内容を確認することなく、体罰教育を行い体罰教育を体感教育などとすり替える会社の姿勢に対して対立しています。

責任転嫁は許さない!

「体罰教育」は絶対に許さない!
「体罰教育」は絶対に許さない!

 分会は、報告集会を11月18日に開催し、組合員から出された「会社は現場の苦労を全く理解せず、要求するだけでは同事象を繰り返す」「危険な駅は他にもあり、ホームや設備を根本的に見直す必要がある」「真の原因究明と対策を会社に認識させることが、再発防止につながる」「支社幹部の回答に怒りを持ち、会社に対する不信と失望を抱いた。本当に許せない!」などの意見に基づき、原因究明委員会で武蔵溝ノ口駅の混雑状況やお客さまの乗降にかかった時間を計測しました。
 そして、この間の検証内容を12月8日に原因究明委員会を開催して明らかにし、当該車掌には問題が無かったことと一方的な苦情を理由にした「体罰教育」を許さないことを意思統一しました。
 会社の見せしめ教育に対し「苦情があったからしかたがない」という組合員もいましたが、検証運動を通じて、乗降時の安全確保が列車ダイヤに反映されていない現実を明らかにすることによって、会社が乗客からの苦情の内容を確認することなく責任を現場の車掌に押し付け、見せしめ的な「体罰教育」によって苦情を減らそうとしたことが明らかになりました。
 この取り組みで組合員の意識が変わりはじめ、ただ不満や不安を訴えるのではなく、解決に向けた積極的な意見も出され「安全とサービスのどちらを優先するのか疑問だ」との声も聞くことができました。苦情の原因を個人の責任とするのではなく、全体の問題として認識することができたと感じています。
 矢向車掌区分会は、車掌の安全や業務課題を組合員と共に議論し、問題解決のための「原因究明委員会」の取り組みを強化していきます。さらに検証活動を進め、組合員と職場集会や個別対話で議論し、問題点を明らかにして会社に改善を求めていきます。また、武蔵溝ノ口駅にとどめることなく、南武線の不安がある駅等も併せて取り組んでいきます。
 そして「責任追及から原因究明」の職場風土を創り、会社よる「体罰教育」を二度と許さない強固な分会組織を創りだし「たしろ かおる」を国政に送り出すたたかいにつなげていきます。

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