安全への挑戦

JR東労組の安全への取り組みの歴史
安全をテーマに89政策フォーラム開催

 東中野駅構内で発生した列車追突事故を契機に鉄道の安全の追求をダイナミックに開始したJR東労組は、89政策フォーラム(1989年9月7日~9日)を「安全シンポジウム」と位置づけ開催しました。
 これは、前年から開始した政策フォーラム(「力をあわせ夢かたる8・8集会」(大宮ソニックシティ)1988年8月8日)を受け継ぐものであり、JR東労組が労働組合として「政策の提起できる集団」へとその能力を高める取り組みとして開催されたものです。
 当日は、安全の取り組みの発表とパネルディスカッションが行われ、安全問題を専門的に研究してきた黒田勲氏(当時、早稲田大学教授)から貴重な提言をいただくなど、実り多い会議となりました。
 また、数多くの新聞記者が取材にかけつけるなど、マスコミからも高い関心が寄せられました。

黒田教授の提言

 人間は常に間違いを犯すものだ。だから安全にとって絶対は存在しない。事故を起こしたくて起こすわけではない人間の誤りを、フォローするシステムをもっとしっかりしたものにしなければならない。

安全は労使の責任!安全哲学確立への挑戦が始まった!

会議のまとめ

 「安全なしに労働なし」ということをはっきりさせたい。
安全とは絶対的なものではありません。相対的なものです。しかし、できるだけ絶対的なものに近づけるための努力は、労使の大きな課題であり、双方が怠らずにやっていかなければなりません。
安全は危険と同居しています。ですから、事故は一つの結果です。結果には当然にも過程と原因があります。そういうことをみんなで出し合って、何よりも明るい職場をつくり出さなければなりません。労働の価値観を実感し得るような、そういう環境づくりのためにみなさんの英知を結集していただきたい。
この会社のポリシーは、安全第一主義、現場第一主義であり、その根底にあるのは人間第一主義です。反面教師とよく言いますけれど、学ぶ姿勢と学びうる資質がなければ反面教師というのは成立しません。
私たちが自身が事故を起こした人から、学ぶという人間的な深さと幅があるかどうかが問われているのです。

(フォーラム抜粋)

 こうして、安全第一主義、現場第一主義が必要であり、その根底は人間第一主義であることを確認し、事故から謙虚に学ぶ「責任追及から原因究明へ」という新しい労使の安全哲学の確立の端緒を築いたのです。

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