JR東労組 | 東日本旅客鉄道労働組合 EAST JAPAN RAILWAY WORKER'S UNION

『鉄道津波防災サミット』に参加!津波避難対策の先進事例を学びました!

 11月4日、和歌山県勤労福祉会館において和歌山大学が主催する「防災・日本再生シンポジウム『鉄道津波防災サミット』-鉄道乗車中の津波避難と地域の訓練-」に本部、長野地本から6名が参加しました。このサミットは、東日本大震災を教訓に、今後起こりうる東海・東南海地震、南海トラフ地震を想定した鉄道事業者の津波対策の現状と今後の展望を示すために、JR西日本をはじめJR東海、JR四国、JR九州や、防災・減災の研究をおこなっている機関の代表が集まって議論を交わしました。

 基調講演では、三陸鉄道前社長・望月正彦氏から「三陸鉄道の復旧・復興の取り組み」について提起を受けました。望月氏は東日本大震災発生から復旧までの苦労と今後の鉄道の果たす役割について語り、「鉄道が廃止になって栄えた町はない。鉄道の優位性は安全・安心。そして鉄道の存在は地域の貴重な財産。地域の足になって地域活性化と振興に貢献すべきである」と述べました。

 

 

 そして基調報告では、「和歌山大学における鉄道防災・津波対策に関する研究の取り組み」(災害時における情報の役割、鉄道防災教育・地域学習列車「鉄学」)と、JR西日本和歌山支社より「JRきのくに線(紀勢本線)における津波対策の事例について報告がおこなわれました。特にJR西日本の津波対策は、「津波が必ず来る」という前提で企業としてできうるハード・ソフト対策をいくつか紹介した上で、「お客様の命を守るためには乗務員の命を守らなければならない。そして、地域の皆さんと一緒に避難訓練などをおこなうことでそれは実現できる」とし、企業・自治体・地域が一体となって津波から逃げる「率先避難者」づくりを粘り強くおこなっている実践的事例が提起されました。

JR西日本和歌山支社が設置した「津波避難標識」。乗務員が素早く判断できるように設置している

きのくに線を走る車両に搭載されている「避難はしご」。これを乗務員訓練や地元と一緒になって開催する避難訓練で使えるようにしているそうだ。

KDDIと共同開発した乗務員用津波被災VR(バーチャルリアリティー) 走行中の列車や線路に津波が襲ってくる状況を再現し、乗務員の行動について全体で意見交換できるようにするために導入。実際、紀伊田辺運転区ではこれを活用している。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 また、JR西日本と和歌山大学がコラボレーションし、地域の特性と観光資源を融合させ津波避難訓練と地域活性化を結びつけた取り組み(“鉄学”)も紹介され、既成概念にとらわれない企業・自治体・地域を巻き込んだ工夫を凝らした津波避難訓練が、今後のJR東労組の防災・減災の取り組みにも活かせるのではないかと感じました。

 

 

パネルディスカッションの様子

 

さらにパネルディスカッションでは「地域と連携した津波避難訓練」について①訓練の意義・課題を明らかにする、②避難訓練を実施するまでの企業・自治体・地域の苦労の共有、③地域における課題の3点に絞ってさらに議論を深め、継続した津波対策と避難訓練の重要性についてお互いに認識を共有することができたことで、これからもそれぞれできる取り組みをおこなっていく意思統一がされました。

 11月5日は国が定めた「津波防災の日」です。想定する自然災害に向き合い、どうしたら命と生活を守れるのか「防災・減災」の視点から職場や地域で議論を深め、具体的に実践していくことが重要です。このサミットで議論された内容を教訓化し、JR東労組の「防災・減災」の取り組みにも活かしてさらに安全で災害に強い鉄道と職場をつくり出すために奮闘していきます。

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