反弾圧のたたかい

第36回公判報告

 8月29日、「JR浦和電車区事件」第36回公判が東京地方裁判所において開かれました。今回の公判は、被告人質問4人目として八ツ田さんに対する弁護側主質問が行われました。八ツ田さんは緊張の面持ちで証言台に臨みましたが、その瞳は、自分を含めた7名の無罪を訴えるという意志の強さに輝いていました。

 被告人質問の中では、指導員(運転士の訓練・教育、指導、見習運転士の育成などを行う)の立場としてY君に接してきた経緯や、見習期間中のY君の状況などを証言しました。
また、検察側が問題にしているY君と話し合いを行ったときの「言葉」の意味についても克明に証言し、脅迫などの事実がないことを訴えてきました。
証言の中では、またしても検察側の恣意的な事実のねつ造・こじつけなどが明らかになり、「事件」が仕立て上げられたものであることがさらに明らかになりました。
主質問の最後には、2002年11月1日の逮捕状況や、その後の取調べでの異常性などを訴え、無実であることを強く訴えました。

弁護側主質問の要旨は次のとおりです。

分会執行委員会・闘争委員会への出席資格がないことを証言!

弁護士 → 浦和電車区分会運転士分科会の常任委員である八ツ田さんには分会の執行委員会に出席できる資格があるのか。
八ッ田 → ない。
弁護士 → 闘争委員会への出席資格はあるのか。
八ッ田 → ない。

 検察側は、八ツ田さんがY君に話しかけを行ったことは、「分会執行委員会や闘争委員会の中で共謀した結果」と主張しますが、前回の被告人質問に立った大澗さんを含め、八ツ田さんには出席資格さえないことを明らかにしました。そもそもY君を脱退・退職させるという方針など存在せず、よって共謀などしていないという事実を強く訴えました。

Y君の利己主義的な性格も明らかに!

弁護士 → Y君たち見習いの運転士実務試験合格を祝う「合格祝賀会」では、どのようなことがあったか。
八ッ田 → 私は勤務で出席していないが、参加した人の話では、見習い一人ひとりがスピーチを行うが、Y君は「試験の成績が思った以上に良くなかったのに何故合格できたのか」などと泣き出していたと言うことを聞いて驚いた。
弁護士 → 普通はどのようなスピーチをするものなのか。
八ッ田 → これまで7~8回参加した中の「祝賀会」では、教導運転士や指導員にお礼を言ったり、訓練時のつらさや今後の目標などを和やかな雰囲気の中でスピーチするものだった。
弁護士 → これまで参加した中で、「合格者が成績が悪くて泣いた」など聞いたことはあるか。
八ッ田 → 一回もない。
弁護士 → 一人で乗務を開始した平成12年10月当時、Y君が転勤したいという希望を持っていたのは知っているか。
八ッ田 → 転勤を希望していたのは知らないが、運転士として乗務して間もない頃、「京浜東北線は飽きた。タンクローリーの運転手になるか」などと話ていると聞いた。一人乗務も間もなく、本当の苦労も判らない状況で多くの先輩の苦労に対して失礼だと感じた。

 このように、当時のY君は、すでに転勤の希望を持っていたことと仲間との関係など考えず利己主義的に振る舞っていた事実も明らかになりました。

Y君の興奮状態を抑え、安心させようと述べた「言葉」が脅迫?

弁護士 → 2001年(平成13年)1月21日にY君と話をしたのは何故か。
八ッ田 → 1月19日にこれまでの「反省・謝罪・決意」が、すべてグリーンユニオン幹部の指示であり、嘘だったと判明したので、何故嘘をついたのか聞きたかったので質問した。
弁護士 → 対応するY君の態度はどうだったか。
八ッ田 → まじめに答えようとする態度ではなかった。
しかし、「嘘をついたのは東京車掌区のOに脅かされていたからだ」と言ったので、Oと話がしたいので電話をかけてくれと頼み、Y君の携帯電話でOと話をした。Oは「脅してなんかいない」と言っていたのでY君に「Oは脅してないと言っている」と携帯電話を返した。
弁護士 → その後、どうなったか。
八ッ田 → Y君は電話口でOに対して「脅かしたじゃないですか。殺すと言ったじゃないですか」などこれまで見たことのない非常に興奮した表情と、大きな声で怒鳴っていた。
弁護士 → それを見てどう思ったか。
八ッ田 → Y君は嘘はついていないと思ったし、Oに怯えているY君の興奮を鎮めることと、励まそうと思った。
弁護士 → それは何故か。
八ッ田 → 1月6日の集会以降、Y君は挨拶をするようになり非常に明るくなった。仕事にも意欲的になり、ずいぶん変わったなと感じていたので、Oに「殺すと言われ脅かされていた」というY君を信じて、助けてやろうと思った。
弁護士 → どのように励ましたのか。
八ッ田 → 「Oに殺されると言われてもびくびくするな。俺たちは革マルといわれているんだ」「俺たちがOの暴力を許す様な組織ではない」といった。
弁護士 → 八ツ田さんは革マル派の所属なのか、革マル派と付き合いはあるか。
八ッ田 → 革マル派ではないし、付き合いもない。
弁護士 → ではどうして「革マル派といわれている」等と言ったのか。
八ッ田 → 当時、国労やグリーンユニオンなどは「JR東労組は革マル派だ」とキャンペーンを展開していた。これはJR東労組が団結力が強く、介入しずらい・簡単に壊せない組織だとの裏返しでもあることから、「組合員を最大限守る組織であるから安心しろ」という意味で使った。
弁護士 → Y君は第3回公判で「俺は革マルだぞ、ふざけるな」と八ツ田さんから言われたと証言しているがどうか。
八ッ田 → 事実とは違う。そのようにはいっていない。
弁護士 → 一緒にいた大澗さんは何かいっていたか。
八ッ田 → 「心配するな。俺がボディーガードをしてやろうか」と、勇気づけるように言っていた。

 検察側は、Y君に対して仲間としての優しさと思いやりをもった会話さえも脅迫とねじ曲げ、意図的に「JR東労組=革マル派」とのキャンペーンを八ツ田さんの「革マル派・・・」という一言をもって、完成させようとしたのです。
このように、7名の不当な逮捕の本質は「JR東労組=革マル派」とのキャンペーンの完成により、JR東労組の運動と組織の拡大に歯止めをかけるために行われた弾圧であることが明らかになりました。

事実を恣意的にこじつける検察側も浮き彫りに!

弁護士 → Y君はその話し合いが終わった1月22日から26日まで「被害にあったので休んだ」ように証言しているが、どうか。
八ッ田 → 検察側から提出された証拠を見ても明らかであるが、あらかじめ予定されていた年休(年次有給休暇)と所定の休みが含まれている。

 検察側は脅迫によって会社に出られなくなり22日~26日まで休んだように描こうとしていましたが、八ツ田さんの証言により真実が明らかになり、年休は以前から申し込んであったことなどが明らかになりました。
検察側は、組合員間の話し合いさえも「つるし上げ・脅迫」と描こうと躍起になっていることが、この間の被告人質問で明らかになってきました。なんとしてもJR東労組の取り組みは異常・反社会的だとつくり上げようとしていますが、真実によってその想いはことごとく、くつがえされています。

警察・検察の取調べの異常性も明らかに!

弁護士 → 最後に裁判所に伝えておきたいことはあるか。
八ッ田 → 会社からは刑事休職ということで給料も6割になっている。働いていれば収入も安定していたが、逮捕から狂ってしまった。
Y君には「辞めろ」など一言も言っていないのに、Y君は「辞めろといわれた」と平然といっている。どちらが嘘か見極めてほしい。
JR東労組は弱者の立場に立って、新潟中越地震の支援ボランティアや障害を持つ人たちに対して「旅のプレゼント」「スペシャルオリンピックス」などの様々な取り組みを行っている。革マル派とは一切関係はない。JR東労組は組合員のために、平和を求める取り組みも行っている。
刑事・検事から子供のことについても「登校拒否になっているのではないか」「いじめに遭っているのではないか」など心配をあおるようなことを言われ、本当に動揺した。
一日も早く被告人という制約から解き放たれ、労働者として電車を運転したい。

 逮捕されてからの344日間にもわたる勾留期間でのつらさと家族への想い、仲間への想い、無実であることを感情を抑えながらも強く訴えました。

 7名の無実が確信できる証言によって、完全無罪の道は確実に近づいているという想いをさらに強くしました。
「事件」がえん罪であるという事実を世の中の多くの人へ訴え、その輪は、確実に大きくなってきています。
まさに、人間として労働者として平和を願いつつ、世の中の様々な動きに対して「もの」を言う団体・個人への言論封殺にもつながる民主主義の危機だといえます。
JR東労組は、民主主義と平和・人権を守り抜くためにさらに頑張ります。
次回の第37回公判は、八ツ田さんに対する検察側の「反対質問」が行われます。

これからもご支援・ご協力をよろしくお願いいたします。

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