社会貢献

子どもたちの笑顔とやさしい目に感動!~アンコールワット国際ハーフマラソン~蒲田電車区分会  岡 貴宏

 2009年12月3日~8日、カンボジア・アンコールワットで開催された「第14回アンコールワット国際ハーフマラソン」にJR東労組本部・吉川書記長をはじめ、10名の仲間で参加してきました。このマラソンは、JR東労組がスペシャルオリンピックス等で交流を深めてきた有森裕子さんが支援するチャリティー国際認定レースです。吉川書記長に誘われたときは「治安的にもカンボジアって大丈夫かな?」という不安な気持ちが先行し「走るためにわざわざカンボジアまで行かなくても・・・」という思いがありましたが、職場の後輩を誘ったら2名の仲間から「行きます」という前向きな返事が返ってきたので、私自身も後戻りできなくなり行くことを決意しました。職場の仲間からは「暑い国で20キロも走れるの?」とか「地雷は大丈夫なの?」などと心配されましたが、このマラソン大会の参加費が義手・義足の支援や障害者スポーツ復興等のために使われるチャリティーマラソンであることを知り、青年部を中心にカンパ活動をしていただきました。そんな職場の仲間に支えられ、職場の代表として私たち3名(吉川書記長も蒲田電車区分会出身なので4名)はカンボジア・アンコールワットがあるシェリムアップという街に向けて飛び立つこととなりました。

アンコールワットの前で歴史を体感!
アンコールワットの前で歴史を体感!

 12月3日の朝、私たちは成田空港に集合しました。そこには有森裕子さんもいらっしゃり、現地まで共に行動することになりました。ただ、カンボジアまでの直行便が日本から飛んでいないため、ベトナム・ホーチミン空港を経由し、シェリムアップ空港まで、約9時間の長旅となりました。現地には夜に着きました。この日は夕食を食べた後にホテルへ移動し、1日が終わりました。

 2日目は、世界遺産に登録されているアンコールワット遺跡群を見学しました。12世紀~13世紀頃に造られた遺跡がそのまま残っており、2日後に走ることを忘れさせてくれるほどの迫力と規模の大きな素晴らしい建築物でした。

ウォーキング大会で子供たちと一緒にゴール!
ウォーキング大会で子供たちと一緒にゴール!

 3日目の午前中は、もう一つのメインであるカンボジアの子どもたちと一緒にマラソンコースを歩くウォーキング大会に参加しました。私と一緒に歩いたのは、地元の学校に通う15歳の女の子でした。体は小さく、見た目は小学生くらいにしか見えませんでした。私は日本語しか話せませんし、彼女はクメール語(カンボジアの言葉)が主で、日本語が分かりませんので、持っていたガイドブックを活用しながら片言の英語で会話をしました。私は「何か日本の歌を歌える?」と聞くと、彼女は「上を向いて歩こう」を日本語で歌ってくれました。約1時間のウォーキングで、言葉はあまり通じませんでしたが、楽しそうにずっと笑顔で応対してくれました。私は、日本とカンボジアであまりにも違う15歳にギャップを感じながら、彼女の屈託のない、やさしい目を見て、何か考えさせられました。

 午後は、有森裕子さんが代表を務める「ハートオブゴールド」という特定非営利活動法人が支援する「チャイルドケアセンター」に行きました。ここは、親を失った子どもたちや貧困によって行き場を失った子どもたちが生活しているところです。子どもたちが私たちに歓迎のダンスを踊ってくれましたが、ここで一番印象に残ったのは子どもたちの笑顔です。幼いながらも過去には辛い思いをしてきた子どもたちが、楽しそうに笑顔で遊具もあまりない狭い敷地の中で遊んでいます。そんな子どもたちを見ていると、日常ちょっとしたことで機嫌を悪くする自分が恥ずかしくなりました。私たちが帰る時も、見えなくなるまで手を振ってくれて、貧しいながらも一生懸命生きているあの子どもたちが今でも忘れることができません。

沿道での子供たちの応援を受けながらゴール!
沿道での子供たちの応援を受けながらゴール!

 4日目は「アンコールワット国際マラソン」当日です。12月と言ってもカンボジアは日中30度を超えます。さすがに昼間は走れませんので、朝6時半のスタートです。前日に飲んだ酒が抜けないまま、ハーフマラソンはスタートしました。私は昨日まで、多くの子どもたちと接してきた経験を生かして沿道で応援を送ってくれる子どもたちには笑顔で手を振って、その応援に応えようと考えていました。テレビでよく見る日本の国際マラソンの応援とイメージは全く違いますが、所々でマラソンコースの近くに住む子どもたちが応援してくれました。途中の給水所でも、子どもたちがペットボトルを手渡してくれました。最初は前日に覚えたクメール語や英語で沿道の子どもたちに「ありがとう」「こんにちは」と言っていましたが、このマラソンは、今回で14回目になるということで、地元の子どもたちも日本語を覚えてくれて、こちらが「ハロー」と声をかけると「こんにちは」と笑顔で返してくれました。私は走った21.0975㎞の間を沿道の子どもたち一人ひとりとハイタッチして応援に応えました(最後の3㎞くらいは苦しくてできなかったかもしれません) 。私のゴールのタイムは別にして(一緒に走った蒲田電車区分会の徳田くんは日本人2位で総合11位でした)、車いすや3㎞の部からハーフマラソンの部まで、48ヵ国・3490人が参加した国際マラソンでしたが、こんなに楽しくアットホーム的に走れたハーフマラソンは初めてでした。ゴールでも多くの人たちが拍手で迎えてくれて、とても感動しました。

 ウォーキング大会やチャイルドケアセンターの訪問、そしてハーフマラソンに参加して、貧しいながらも前を向いて、必死に生きている子どもたちと出会い、笑顔とやさしい目を持つ子どもたちから勇気をもらい多くのことを学ぶことができました。カンボジアは1970年代のポル・ポト政権によって、多くの人々が虐殺され亡くなりました。また、政権下での内戦の勃発とベトナム軍の侵略により、400万個とも600万個とも言われる地雷が埋められました。1990年代に入ってやっと内戦が終わり、悲しい歴史から立ち直ろうとしていますが、未だに多くの地雷は埋められたままで、毎日のように地雷で命や体の一部を失う事故が発生しているそうです。私も1974年に生まれましたので、もしカンボジアに生まれていたらどうなっていたのかを考えるとゾッとします。日本を見ても民主党が政権を握り、ややトーンは下がっていますが憲法9条の改悪の動きは変わりませんし、世界でも今なお戦争で苦しんでいる子どもや弱い立場の人々がいるのが現実です。平和でないと子どもたちの笑顔を見ることができません。48ヵ国の人々と同じコースを走ることもできません。このマラソンに参加して、改めて平和の尊さを感じることができました。だからこそJR東労組が掲げる「平和・人権・民主主義」を全組合員で貫き、美世志会の上告審勝利を勝ち取り「たしろ かおる」を国政に送り出していかなければなりません。私も精一杯、職場で奮闘していきます。

有森裕子さんと交流を深めました!
有森裕子さんと交流を深めました!
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